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| エネルギー源としての食について考える。 |
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| ■ヒトは長い進化の長い道のりを経て、生きる力を蓄えてきたというのがこれまでのお話でしたが、「日々の生活」というような短いスパンでは、ヒトの生きる力をどのように考えられますか? |
| 高橋:ヒトに限らず、生物は生きていくうえで、両立させなければならない二つの大きな命題を持っています。一つは『種の存続』、そしてもう一つは『個体の維持』です。種を存続させるためには、まず個体が生殖可能な年齢に達し、さらに生殖活動を全うするまで生き続けることが必要です。そしてその間、個体の正常な機能が維持されていなければなりません。個体が生存を続けるためには、生物それぞれの生き方に見合った「平衡を保とう」という力が働いていることがとても大切なのです。この力は、生理学的に『ホメオステイシス(恒常性)』と呼ばれている機能で、個体が生きていくための様々な機能の基礎になっている力ということができます。 |
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| ■『ホメオステイシス』という機能について、もう少し詳しくお話していただけますか? |
高橋:例えば、ヒトのような恒温動物ですと、外気温が変化しても体温は1度とは違わない狭い範囲に保たれていますよね。体温調節は意図的に行われているものではなく、意思とは関係のないところで、体に備わっている様々な機能によって実現しています。一般的に言えば、生物自身の内部環境が、外からの原因、内からの原因を問わず、ある理想とする状態から外れた時には、外れたということを認識して元に戻そう、安定した状態の範囲内に戻そうとするメカニズムが働きます。このような状態、つまりホメオステイシスが成り立っている限り、個体の生命は正常に維持されると考えていいでしょう。
急に大げさな話で恐縮ですが、宇宙の物質の全てを平均化したら、空間にパラパラと元素が漂っているというようなイメージで、生命の存在など決してありえません。生命、あるいは生きる力は、ある精緻な秩序のもとに、宇宙的レベルから言えば信じられないほどのたくさんの物質が凝集していることで生まれるものです。つまり生命は物質の極めて稀な存在状態を基礎に成り立っており、この状態が維持されている状況をホメオステイシスと言っていることになります。 |
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| ■では、ホメオステイシスはどのようにして実現されているのでしょう? |
| 高橋:ウーン、「どのようにして」というご質問に正面から答えようとすると、生理学、あるいは生理機能を全て説明しなければならなくなりますから、そのことはおいおいお話しすることにして、まず、ホメオステイシスを実現するためにはエネルギーが必要であることを判って下さい。 |
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| ■確かに、稀な状態を「維持する」ためには、それなりのエネルギーが必要なことは理解できます。 |
高橋:そう、生きる力が発揮されるためにはエネルギーが必要です。ところが動物は植物とは異なり、個体を維持していくために必要なエネルギーは自然に体内で生産されてきません。外からエネルギーを摂取する必要があります。これが食物の最も基本的な意味合いと言えるでしょう。この食物から得たエネルギーを活用することによって、ホメオステイシスが保たれ、自己が保たれるのです。このような仕組みが生きる力として進化し、蓄えられてきたのが生物です。さらに、自己を保つ事に成功している個体が、摂取したエネルギーを使って子孫を残していく・・・これが世代の流れということになります。
このように、ヒトの個体維持に、ひいては種を存続していくために不可欠なエネルギー源となる食物ですが、それらは『炭水化物』、『脂質』、『タンパク質』という、3つの栄養素に分類することが出来ます。我々は、これらの三大栄養素の中のひとつである、タンパク質の構成成分であるアミノ酸に注目(着目)して研究を続けているんです。 |
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食物から得られるエネルギーは、ヒトの生きる力の維持には必要不可欠なものなのですね。
次回は、エネルギー源のひとつであるタンパク質と、その構成成分であるアミノ酸についてのお話を伺いたいと思います。 |
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